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水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第16回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第16回
 第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(15)
第一部終了 ~『青春とはなんだ』第41話「この日を永遠に」篇~


 いよいよ『青春とはなんだ』の最終回です。放送日は、1966(昭和41)年11月13日でした。メイン監督の松森健とメインライターの須崎勝彌の二人のコンビ作です。夏木陽介さんは、この二人のコンビで東宝映画版シリーズである『これが青春だ!』、『でっかい太陽』、『燃えろ!太陽』(1966年~1967年)の主演も務められます。
 番組最初の頃のメイン女生徒は、豊浦美子、岡田可愛、土田早苗、北島マヤ(最初は「まや」名義)、松田八十栄、遠山智英子といった面々でした。やがて北島マヤ、土田早苗の二人の登場がなくなり、有田めぐみと水沢有美の二人が加わりますが、有田めぐみさんはいつの間にかいなくなります。土田早苗さんは後半に何度か登場しますが、実質的に後半のメイン女生徒は、最初からの豊浦、岡田、松田、遠山に水沢有美さんを加えた五人だったといえます。最終回は、ラグビー部の応援団幹部としても五人は一緒になって登場してきます。
 先ずクレジットから。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、大沢健三郎
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、関戸純方
5枚目 柴田昌宏、木下陽夫、松浦忠、日吉としやす
6枚目 中山豊、遊佐ナオ子、関田裕、伊藤実、権藤幸彦
7枚目 松田八十栄、水沢有美、遠山智英子、谷和子、高野文子
8枚目 十朱久雄、藤岡琢也、七尾伶子
9枚目 藤木悠、三井弘次
10枚目 山茶花究、平田昭彦
11枚目 加東大介

 最終回のお話の内容は、予告篇でのナレーションを引用する形で紹介したいと思います。
〈来週の『青春とはなんだ』は、「この日を永遠(とわ)に」。体育館建設問題もいよいよ大詰めに迫り、野々村先生は金高組と対決します。一方、永井先生とのロマンスも国体ラグビー県予選を控えて急速に発展。優勝戦に宿敵・北日高校を迎えた森山高校の活躍にどうぞご声援ください。では、最終回「この日を永遠に」をお楽しみに〉

 視聴者に向って「ご声援ください」という予告篇ナレーションも時代を感じさせますが、それだけ『青春とはなんだ』という作品が視聴者の声援を受けていたという証だったといえそうです。この予告篇にあるように最終回は、金高組のボスで永井先生(藤山陽子)の義兄になる金高(平田昭彦)、それと結託する教頭の勝又(山茶花究)と野々村先生、山角先生、中川先生(藤木悠)らとの対決。予告篇ナレーションとは違って「ロマンスは急速に展開」するわけではなく、野々村先生と義兄との板ばさみになって苦悩する永井先生に生徒たちはやきもきするのです。
 水沢有美さんは、全30シーンのうち6シーンほどに登場しますが、すべてメインの女生徒五人集揃ってでの登場になりますが、話半ばからの登場になります。前半は、体育館建設を巡って職員会議で教頭と対決となります。だが一枚岩と思われていた金高と勝又教頭ですが、勝手に子分を使っていたこともあり、金高は教頭と仲たがいします。勝又教頭は、いさぎよく学校を辞めて反省のため寺に籠もって座禅修行を始めます。一方、ラグビーのライバル校である北日高校の監督が結婚したために野々村先生と永井先生も決勝戦までに結婚してもらわないと闘争心が沸かないと生徒たちはじめ周りの人々も俄然、張り切るのですが、野々村先生は勝又教頭が仲人をしてくれるならばと変な条件を言い出す始末。結局、ラグビーの国体予選と同時並行して、体育館建設問題、勝又教頭に野々村・永井の仲人を引き受けてもらうという動きが同時並行的に進んでいくのです。
 水沢有美さん初登場のシーンは、ラグビー部が1回戦に勝った報告を山角先生(加東大介)にするところからです。

第1場面(#17)職員室
 椅子から立ち上がって喜ぶ山角先生。
山角先生 「そうか勝ったか。ああ、よかったよかった」
順子(豊浦美子)「先生、1回戦は切り抜けましたが、2回戦はどうなるかわかりません」
山角先生 「おい、おどかすなよ」
勝子(岡田可愛)「ラグビー部の人たちには不安があるんです。決勝戦の前に結婚式あげないと森山チームの士気に影響します」
光子(松田八十栄)「この次負けたら山角先生のせいですからね」
五人娘「(声をあわせて)そうですよ」
山角先生 「弱ったな」
 腕組みして悩む山角先生。
佑子(水沢有美)「だめなんですか」
山角先生 「うーん、どうもな」
勝子 「もう大人にはなかせておけないわ。あたしたちだけで勝又先生に会いに行きましょう」
順子 「それがいいわね」

第2場面(#18)寺のお堂
 座禅を組んでいる勝又。五人娘が足を忍ばせてやってくる。山茶花究さんを中心に周りを囲む五人娘。なかなかいい構図です。勝又先生を中心に仏像の後光のように五人娘が配置されています。左右に豊浦、岡田。背後に松田、水沢、遠山という布陣で水沢有美さんの佑子は、山茶花究さんの頭の上です。説得する五人娘。

順子 「先生、二人の幸せのために仲人を引き受けてください」
勝子 「いいえ、二人ばかりだけではありません。ラグビー部のため、いえ、あたしたちの、いえ、わが愛する母校のためにどうかバカヤローといってください」
勝又 「わしにはもう母校はない」
光子 「それでよく教頭が務まりましたわね」
幸子(遠山智英子)「野々村先生のつけた渾名、ご存知」
佑子 「アザラシっていうのよ」
勝又 「うん、なかなかうまいこというね」

 五人娘は、勝又先生を怒らせようとするがうまくいかない。ちなみに「バカヤロー」といわせようとするのは、和尚が心の奥底から自然と怒りがでれば修行が終わったことになるという言から来ているのです。

第3場面(#20)職員室
 第2回戦も勝ったと報告する五人娘。ちなみにこの前のラグビー場での2回戦のシーンに応援団である女生徒たちが体操着を着て応援しているのですが、何故か水沢有美さんだけが見えません。第25話「どろんこ作戦」でも行方不明になっていただけに不安です。
 さて、今度は校長先生(十朱久雄)が勝又先生を説得しにいくことになりますが、やはりダメでした。

第4場面(#23)学校の校舎内
 永井先生を囲んで五人娘が説得している。
勝子 「先生、応援に行きましょう。あたしたちと一緒に」
永井先生「用があるのよ」
順子 「大事な用ですか」
永井先生「ええ」
幸子 「ラグビー部を応援するよりもっと大事な用ですか」
佑子 「野々村先生をはげましてあげることよりもっと大事なことなんですか」
 佑子の言葉にやや心を動かされたが、意を決したように答える永井先生。
永井先生「兄に体育館から手を引くように最後の努力をしてみようと思うの」
 言葉のない5人娘。

第5場面(#28)ラグビー場(決勝戦)
 北日高校との決勝戦。心配しましたが、ここでは水沢有美さんはしっかりと他の4人一緒に応援していました。
 ちなみに少し脱線するのですが、この試合の実況をしているのが、若き日の徳光一夫アナウンサーであるのは有名ですが、私が気になったのはラグビーの試合の観客の人々です。とても高校ラグビーの応援をしている年齢層に見えない人たちが集まっているのです。最年少は、幼稚園児らしき子から小学生たち(それも女の子たち)がたくさんいるのです。ちょっと違和感を覚えながら毎回、見直すごとに気になってしまいます。おそらくグランド近くの地元の人たちをエキストラにしたのでしょうが、それにしても高校ラグビーの試合にとてもふさわしくない観客層でした。ただ、2度ほど応援歌である副主題歌「貴様と俺」を歌うシーンがあるのですが、幼い子も一緒になって腕を振りながら歌っている姿はほほえましくてつい笑顔になってしまうかわいらしさがありました。余談ですが、最終回のラグビー決勝戦の観客席は見ものであることを付け加えておきます。

第6場面(#30)同ラグビー場
 正当な入札で体育館建設を請け負った金高が、勝又にも「バカヤロー」を言わせて二人の仲人をすることも認めます。永井先生は金高組の子分(中山豊)の運転する車で決勝戦が行われているラグビー場にやってきます。大喜びの生徒たち。ぎこちない挨拶をする二人を見つめている生徒たち。この時、水沢有美さんの久しぶりのしぐさが見えました。顎に手をやっていたのです。
 森山高校ラグビー部は、永井先生もやってきたこともあって俄然、気力が溢れて接戦の末、勝利するのでした。野々村先生を胴上げするラグビー部員たち。カメラは空にパンして「終」を告げるのでした。
 これで「水沢有美さんと<青春学園シリーズ>」の第一部・夏木陽介主演『青春とはなんだ』篇は終りです。最後にこれまでの『青春となんだ』での水沢有美さんの登場回をまとめておきましょう。

初登場の第18話「制服の日誌」から第21話「わが道を行く」を経てノンクレジットでわずかの出演の第23話「蛍の光」から第25話「どろんこ作戦」。2回飛んで第28話「いかすぜ!鉄腕」に登場して1回置いての第30話「花咲く丘」から最終回の第41話「この日を永遠に」まで連続クレジット。ただし、第35話の「夏山賛歌」にはクレジットはありますが未出演ですので、実質出演回数は、ノンクレジットの第23話を加えて全15話だったということになります。
はたしてみなさんは、どの話をベスト3に選ばれるでしょうか。筆者の独断で取りあえずのベスト3を挙げさせていただきますと
第21話「わが道を行く」(2度目の登場で三人娘の一角としてお姉様二人をお説教)
第30話「花咲く丘」(レギュラー定着を確定した)
第33話「風が見ていた」(水着姿を披露)
となります。初登場の第18話も捨てがたいし、最終回の第41話も入れたくなりますが、水沢有美さん自身はどうなのでしょうか。

では次回からは、第二部・竜雷太主演『これが青春だ』『でっかい青春』篇です。『これが青春だ』では、最初から岡田可愛、松本めぐみのメイン二人と並ぶ三人娘の一角として登場する水沢有美さんがいます。それでは、乞うご期待ください!




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